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INTERVIEW

福岡からAIの先端分野を突き進む フランス人凄腕エンジニア

株式会社チームAIBOD CTO Trouve Antoine (トルヴェ・アントワン)さん

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公開日:2019.7.12

立派なひげをたくわえ、流暢な日本語を操るフランス人のトルヴェ・アントワンさん。 AIソリューションを提供する株式会社チームAIBODのCTO(Chief Technology Officer、最高技術責任者)を務めています。

福岡に住んでもう10年以上になる彼は、福岡市と姉妹都市提携を結ぶフランス・ボルドー市の大学通学中に、インターンで福岡を初訪問。その後、すっかり福岡が気に入って、この街で働くようになりました。 AIを使った社会課題の解決に取り組む多忙な毎日ですが、ワークライフバランスはとても充実しているとのこと。 そんなアントワンさんに、エンジニアになった経緯や福岡の印象について伺いました。

 

フランス生まれ、ドラゴンボール育ち

--今日はよろしくお願いします。まずは、エンジニアになろうと思ったきっかけを教えてください。

はい。私は、小学生の頃からずっとパソコンを触っているような子どもでした。古いパソコンでプログラミングをしてみたり、簡単なゲームを作ってみたり。それで、ITに強いボルドー(フランス)の大学に通いました。

--ボルドーですか。福岡市と姉妹都市ですね。

そうなんです。大学の教授の一人が日本を訪れたことがあって、ボルドーと福岡は姉妹都市でしたから、福岡に行ってみたくなりました。最初の3ヶ月間、インターン生としてISIT(公益財団法人 九州先端科学技術研究所)で働き、一度帰国した後、2006年に再びISITに戻り、研究員として正式に働きはじめました。それからずっと福岡なので、もう来て12年になりますね。

--どおりで日本語がお上手なわけですね。もともと日本に興味があったんですか?

もちろん! フランス人はみんな日本の漫画やアニメが大好き。私もドラゴンボールで育ったようなものですから(笑) 大学の日本語の授業も、いつも人気です。

--なるほど。そしてISITの後は? 

2008年から九州大学の博士課程に入り、卒業後は3年ほどで九州大学の助教に着任しました。その後、教授が起業することになり、そこにジョインして、今に至ります。

アントワンさん2

 

エンジニアは好奇心が大事

--現在の仕事内容を教えてもらえますか? 

CTOとして、会社の技術的な方向性を決めたり、技術指導をしたりしています。当社の仕事の8割はクライアントワークなので、「いま抱えているビジネス課題を、AIを使って解決したい」とのご相談に対して、コンサルティング的にアドバイスしたり、実際にAIを実装してサポートしたりもします。

--九州大学での研究と今のお仕事はどう繋がっていったんですか?

九州大学では、工学部でプロセッサーの設計をしていました。設計の過程でたくさんデータを集めてデザインしているうちに、だんだんとデータ思考になっていって。統計や機械学習、AIなどの技術が面白くなってきて、いつの間にかそちらの分野がメインになっていました。当時、九州大学やISITにはAIをビジネスに活用したいがどうすればいいか、といった相談をしにくる方が結構いたんですよね。大学や財団はビジネスプロジェクトが起こしにくいということもあって、教授がチームAIBODを立ち上げたというわけです。

--AIのソリューションにおいて、大切なことは何でしょうか?

AIを実装するときは、3種の人材が必要だといわれます。
1.AI、つまり数学ができる人
2.プログラミングができる人
3.マネージャー、つまりその業界・分野を理解している人

当社は、この3種の人材がバランスよく揃っていることが強みです。特に自動車業界やエネルギー業界に強く、業界知識や課題、クライアントのニーズを理解して取り組んでいます。

--エンジニアの仕事の楽しさって、どんなところでしょう?

常に新しいことを学び、新しいことに挑戦できるところ。特にAIなど最先端の技術は、1年くらいでどんどん変わっていきます。新しい技術を自ら学びにいく柔軟性とキュリオシティ(好奇心)が、エンジニアにとって大事だと思います。

 

得意料理は「がめ煮」です

--福岡の街は、エンジニアにとって良い環境でしょうか?

街としてとても住みやすいと感じますよ。最近は福岡市もスタートアップの誘致に力を入れていて、優秀な外国人エンジニアも増えました。コミュニティ活動も盛んで、私たちもオフィスがご近所のヌーラボさんが開催している勉強会の常連だったり、その他のエンジニア関連イベントもよく参加しています。

福岡はコンパクトシティなので、エンジニア同士が知り合う機会は結構ありますし、だいたい同じ顔ぶれが参加しているので関係性を築きやすいですね。ただ、業界全体が人手不足だとは思います。優秀なエンジニアが福岡に来てくれるなら、すぐ採用したいぐらいです。

--これからも、福岡で仕事を続けたいですか?

ええ。快適すぎて、フランスに帰ることは考えられませんね(笑)

子どもが3人いますが、子育て世帯にも優しい街です。働き方も、かつてのような長時間労働スタイルから変わってきていますし、ワークライフバランスも実現できています。子どもとの時間を大事にしたい人には、福岡はいいと思いますよ。

--アントワンさんご自身も、子育てに積極的に関わっているんですか?

ええ、もちろんです! 平日も保育園へ送り迎えに行きますし、休日には公園で子供と遊んでいます。大濠公園は、静かで安心できる場所ですね。あと、日本食が好きで、料理をよく作ります。得意なのは、がめ煮(博多の郷土料理)かな。

--がめ煮! 意外ですね!

がめ煮は、いろんな食材がバランスよく食べられるから好きなんですよ。ちょうどいい味を出すのは、結構難しいけど……。少しフランス料理と似ているところがあるかな。文化もカルチャーも、福岡とフランスは似ているところがあると思います。住むなら福岡がいいですけどね(笑)

 

英語圏の知見を福岡でシェアしたい

--今後の展望を聞かせてください。

まずはチームAIBODをもっと大きくして、AIというツールを使って日本の社会課題を解決していきたいと思います。日本は、AIなど先端分野の技術的な知見は、アメリカと比べて1〜2年ほど遅れているのが実情です。言葉の壁が大きいんだと思います。でも新しい技術が出るということは、以前より進歩しているということなので、できることの範囲は広がります。だから新しい技術はどんどん取り入れて活用した方がいい。当社は外国人スタッフが多く言葉の壁は低いので、海外で発表された新しい知見を福岡のエンジニアの皆さんとシェアして、広げていきたい。そうしたベンチャーのエコシステムが作れればいいなと考えています。

--とても充実したお話でした。本日はありがとうございました。

アントワンさん3

 

〈Trouve Antoine (トルヴェ・アントワン)さんプロフィール〉

2007年2月:九州先端科学技術研究所研究員
2011年9月:九州大学システム情報科学研究院 博士後期課程修了 博士(工学)
2014年4月:九州大学システム情報科学研究院 助教
2016年4月:株式会社チームAIBOD CTO
現在まで、以下の分野の研究に幅広く従事している
コンピューターアーキテクチャー、スーパーコンピューター向けコンパイラ技術、
高性能プロセッサーシミュレーション技術、
ビッグデータとオープンデータの自動クレンジング/解析/可視化

株式会社チームAIBOD HP https://www.aibod.com/index.php/ja/

 

取材・文・写真: 佐藤 渉

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